松浦豊明の世界 第1集 シューマン・ライヴ集(2017.3.30)


町で偶然見かけて購入したCD。こういう録音があったとは驚きである。
というのは、ここに収められている1985年の演奏は実際に会場で聴いていた演奏だからだ。その時の印象は今でも鮮明に覚えており、ピアノの音がこんなに美しいものなのかということ、そして若々しいエネルギーに満ちた表現力に感動した演奏会である。その日のプログラムは前半がシューマン(ノヴェレッテOp.21-1/「蝶々」「ソナタ第2番」)、後半がモーツァルト(ソナタハ短調 K457)及びショパン(バラード第2番Op.38、ノクターンOp.55-2、バラード第4番Op.52、タランテラOp.43)というものであった。特にノクターンが素晴らしかったことを覚えている。

このCDはその他に「幻想曲」「森の情景」も収録されている。どれもライヴ録音ならではの生命力に満ちた素晴らしい演奏だと思う。この演奏を聴く前にケンプのシューマンを何曲か聴く機会があったが、ドイツ的な感情の表出という点でどこか共通点を感じるように思った。拍節感がしっかりして安定感がある中にさまざまなニュアンスが生かされ、楽曲の構成が実によくわかる演奏である。

他の録音も是非聞いてみたいと思う。



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