イマージュ・ド・パリⅡ  椎野伸一(2016.7.9)


リサイタル、アンサンブルと幅広い活動を展開している椎野氏の録音を聴いた。以前、紀尾井ホールでのリサイタルで聴いたドビュッシーが印象的なものだったので、フランス作品に期待して今年1月に購入をしたのだが、忙しさのため聴くのが今頃になってしまった。

まず、選曲が素晴らしい。タイユフェールの「ドビュッシーをたたえて」で始まり、ドビュッシーの小品3曲、ラヴェルの小品3曲および「高雅にして感傷的なワルツ」、オネゲルの小品2曲、フォーレの前奏曲集より2曲、プーランクの小品、最後にタイユフェールの「ゆるやかなワルツ」というもの。まるで19世紀末のパリにいるかのような(行ったことはないが)気分になる音楽と言える。とくにオネゲルの作品は初めて聴いたがなかなか味わいのあるものだった。

演奏も、リサイタルで感じた「美しいピアノの響き」を最大限に発揮しており、実に聴いていて心地よい。よく整理されたテクニックもこの人の特徴と思え、楽譜の細部まで見えてくるような演奏であると思う。ピアノの状態もかなり良さそうだ。

フランス音楽では、他にプーランクの作品を岡本愛子氏が演奏したCDを愛聴しているが、こういう演奏家の録音によってこの時代の名曲が一般の方々に聴かれるようになったことは、まことに喜ばしいことだと思う。


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